[194]読者Q&A『年休がとりやすい環境』

■読者からの質問

「知って得する労働法」のページを拝見して有給休暇は労働者の当然の権利であること、再認識できました。

私は製造関係の職場で仕事を分配する業務をしています。職場では1日に受注した仕事を全員に均等に分配しています。一人が1日に生産できる量には限界があるので、仕事が多い日は過剰分を外注しています⇒経費が掛かります

職員10人で、1人が1日に生産できる量を10個とします。
職場全体で1日に生産できる量は100個という事になります。
130個の受注があった日は、残りの30個は外注としています。

そこで、お伺いしたいのは有給取得者がいる場合の余剰の仕事の扱いについてです。

例えば2人が有給を取得した日に同様に130個の発注があった場合、有給者分を合わせると50個が余剰分になります。
1.この50個はそっくり外注に回してよいものなのか?
2.それとも残りの8人で20個分を負担するべきものなのか?⇒残業になります
判断しかねています。

自分としては、使用者は労働者が同僚に気兼ねせずに有給が取得できるよう配慮するべきで、余剰分を同僚が負担して残業になるのはおかしいと考えています。『自分が休暇をとることによって、周りに迷惑がかかってしまう』という気持ちがはたらいて休暇がとりにくい雰囲気になってはならないと思います。
したがって外注による支出増加は当然使用者が負担するべきもので、有給が取得しやすい環境作りも使用者の義務だと考えます。

この考え方に間違っている点はありますでしょうか?
ご指南下さい。

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

有給休暇についてですが、労働基準法は「年休は請求があったらとらせること」という意味のことしか規定していません。したがって年休をとったことで、職場の雰囲気が悪くなるかどうかまでは言及しておらず、そのあたりは管理監督者の采配にかかっています。もしどうしても、年休を取ることで会社に重大な影響が生じる場合は時季変更権のみ認めているわけです。

人手に依存している業態の場合は、年休を取ったことで当然お尋ねのような問題は生じるでしょうが、これは会社内で解決すべき問題です。外注に出すか、残業をつけるかは、あるいは先延ばしにするかは会社が決めることです。

もちろん法律は年休を取ってもらうためにこの規定を定めているわけですから、会社はその趣旨を汲み取り、年休を取りやすいように配慮すべきでしょう。しかしそれはいわゆる企業努力というものです。