[202]読者Q&A『超過した休憩時間を有給に充てるのは適法か?』

■読者からの質問

私は男性で肢体に障害がありパートとして採用されました。時給900円で、現時点で勤続年数は2年4ヶ月です。労働時間は週40時間以上ですし、週に5日以上出勤しています。今の会社は残業をしても25%増しで賃金が支払われず、休日に出勤しても50円しか時給が増えません。

仕事柄7月から9月は忙しく、会社に行かない日は3日しかありませんでした。さらに1日平均10時間労働でした。

?中略?

こちらの「年次有給休暇」のページを読んで、早速上司に自分にどれだけの有給日数があるのか確認しましたが、

「昼休み以外に、毎日午前と午後10分ずつのお茶休憩を与えている。
その休憩時間を有給休暇として処理している。」

その上司の理論としては、
『1日20分(午前と午後10分ずつ)×22日=440分(7.3時間)』
年間で
『7.3時間×12ヶ月=87.6時間(約11日労働分)』
ということらしいです。

「約11日分を有給として処理しているから、有給は無い。」
と言われました。

そういう処理の仕方は、法律的には可能なのでしょうか。

自分が障害があることもあって、強く言うことができませんし、このようなことを相談できる人もいないのでメールさせていただきました。

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

>週5日出勤で勤続2年4ヶ月である

年次有給休暇の日数は1年6ヶ月経過2年6ヶ月未満なので年間で11日付与されます。この点につきましては労使ともに問題になっていないようですね。

>残業しても25%増しの賃金が支払われていない。休日出勤しても時給が50円しか増えない

労基法第37条によれば、残業および休日出勤の場合は25%以上50%以下の範囲内で割増賃金を支払わなければならない、となっていますので、時給900円であれば最低でも割増賃金は225円でなければなりません。

>7月から9月までは繁忙で会社に行かない日は3日しかない。そのときの1日平均労働時間は10時間。

そもそも三六協定がなければ残業自体させられませんが、その協定があったとしても7月から9月までの3ヶ月間に3日の休みというのは少なすぎます。変形労働時間制(労基法第32条の2により届出が必要)をとっていれば連続労働はさせられますが、その連続労働も原則6日までとなっています。

>昼休み以外の10分休憩が一日2回あり、この分を有給として処理しているので年次有給休暇はないといわれた。

法律で付与されるべき年次有給休暇について、事前に買取の予約をすることによってその日数を減じないし与えないことは禁止されています。(労基法第39条)したがってこの場合に休憩時間を年次有有給休暇に充てるのは法に反します。

ただし、その休憩時間については働いていないのですから、一日の労働時間を7時間40分とし、その20分にあたる休憩時間の賃金を支払わないとすることは適法です。

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