[208]読者Q&A『年次有給休暇を知らされていない』

2012年12月31日

■読者からの質問

 

父は会社から年次休暇の存在を知らされていないようです。これまでも私用で休んだことがあるのですが給与天引きされているようです。年次休暇の取得は法律で認められていますよね。本来なら本人がきちんと話し合うべきでしょうが。会社との関係がまずくなるのではないかと気にして言うことができないようです。どのようにするにが一番いいでしょうか。

 

また、週に1度日曜日しか休みがありません。公休日も仕事です。これは労働日数の基準に反していませんか?

 

■たまごやの回答

 

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

 

年次有給休暇(以下、年休)は、労基法第39条の勤務条件を満たしている場合は、自動的に発生する休暇です。その取得には、理由は必要なく、事前に宣言するだけでよいという大変強い権利を持った休暇です。

 

しかし、その年休があること、そしてその残日数を労働者に進んで教える義務は使用者にはありません。したがって、今回のケースのように、年休があることを知らず、自分の年休日数も当然知らないということが生じてしまうのです。

 

しかし、年休は請求されれば取得さなければならない休暇ですし、その休暇に関しては使用者は管理する義務があります。誰に何日の年休が残っているかどうかは把握しているはずですし、労働者が自分の年休が何日あるか尋ねられた場合は答えなければならないことになっています。

 

また、休みをとった場合でも、この「休みを年休にする」ということを使用者に伝えなければ、その日は単なる休みになってしまいます。自動で年休に充てることは使用者はする必要がないので、これは自分で請求しなければなりません。

 

また、週に2日の休日は労働基準法では定められていません。法で定めているのは「毎週少なくとも1日、または4週間に4日以上与えなければならない(労基法35条)」となっています。したがってこれは違法ではありませんが、法定労働時間を越えていれば、割り増し賃金を支払わなければなりません。また休日も決まっているのなら、休日の割り増し賃金も支払う必要があります。そのあたり実際はどうでしょうか。

 

いずれにしても、お父様は無知な経営者(あるいは知らない振りをしている)の環境にいると思われますので、まずは本人が自覚することと、総務の部署があれば年休についてそれとなく聞いてみるといいでしょう。

 

古い体質の会社の場合、長年働いている正社員には知らせないことが多く、もしパートさんなどを雇っている場合は、パートさんに年休をとっているかどうかを聞くのも一考です。パートさんは世慣れしていますから、しっかり年休を取っていることも多いからです。