[214]複数の会社で働く場合は労働時間を通算する

今回はあまり知られていない情報をお知らせします。

労働者が複数の事業所で勤務する場合、その労働時間は合算されるというのが労働基準法の考え方です。事業所とは同じ会社の場合はもとより、別の会社であっても同様です。

会社での勤務(週40時間)が終わった後に、その後ファミレスでアルバイト(たとえば週12時間)をするような場合はよくありますが、この場合労働基準法では週52時間労働として認識します。

となると、問題になるのが割増賃金です。労働基準法では週40時間以上働いた場合は、割増賃金を支払うよう定めています。そして、その賃金はどちらの会社が支払うのかという問題もあります。双方の会社で36協定も締結しなければなりません。

労働者が二つの会社で勤務する場合、どちらの事業場が割増賃金を支払わなければならないかについては、労働者との労働契約を後で締結した会社とする説と、実際に法定労働時間を超えて労働者を使用する会社という説があります。

上記のようなアルバイトの場合、本業の後にアルバイトの契約をするのが普通なので、アルバイトとして雇う「後の会社」が割増賃金を払うことになります。本業の方の会社が、アルバイトをしたからといって、通常の勤務時間について割増し賃金を払う訳がありません。

また、早朝アルバイトを場合でも同様で、そのアルバイトの後に本業の勤務をした場合に一日8時間を超えた場合でも、本業のほうの会社が割増賃金を支払うはずもありません。

したがって、このようなケースの場合は、後で契約したアルバイトのほうの会社が支払うことになりますが、実際に支払われているケースは皆無でしょう。もし本業で8時間労働している人を雇い、割増賃金を支払うことが明らかな場合は、そんな条件の悪い人を採用しないと思うからです。あるいは知らない振りをして雇うかでしょう。

しかし、この場合でも、アルバイトして雇う会社が、本業で8時間労働をしていることを知りつつ、その後勤務させたような場合は、当然割増賃金を支払う義務は生じています。もし訴訟となれば、割増賃金の支払命令が出ることは必至です。後から労働契約を結ぶ事業主は、その労働者が他の事業場で働いているかどうかを確認した上で労働契約を結ぶことが重要です。

このようなケースは多くあっても、実際に割増し賃金を支払っているケースは皆無と思われます。私もつい最近まで知りませんでした。もし経験者がいらっしゃったら、ご一報ください。