[217]読者Q&A『明日来なくていいといわれた』

■読者からの質問

現在パートで薬局で薬剤師をしております。現在研修期間として入っています。就業規則といったものは、ちゃんと書類では書いていないそうです。

まだ入って2日目のため、そこの薬局にあるお薬全ての薬効・副作用等把握できていません。そこで、患者さんが居ない時に、本をみて薬効を調べていました。(実際たった、3分間ぐらいの間本を見ただけですが・・。)すると、血相を変えて怒られました。「ここは、勉強する所ではない!!」だそうです。

しかし、仕事でわからないことがあり、その場で調べなければならないことなど、どんな職場に行ってもあると思います。少し時間ができたときに、仕事に関する本を見ることは、労働法で許されないことなのでしょうか?

また、最初の面接で平日はフルタイムで入るといったことを社長と言っていたのですが、本日店長の機嫌をそこねてしまい、店長から「明日来なくていいです!」と言われてしまいました。

理由は、冷却期間を置いた方がいいからだそうです。

たった2日しか働いていないのですが、なぜこんなことを言われるのかわかりませんし、(相手の機嫌を損ねたから、明日は来るな!はちょっとおかしいと思います)「1日も早く慣れてください。」と言っておきながら、「明日来なくていいです」は、明らかに矛盾します。

研修期間であれば、このようなことも許されるのでしょうか?

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

【就業規則について】

就業規則が書面になっていないとのことですが、就業規則は常時10人以上の従業員がいる場合には作らなければならないことになっています。常時10人に満たない会社の場合は不要です。

本件の場合ですが、10人以上の職場にもかかわらず、就業規則が常時閲覧できない状況にある場合、労働基準法89条違反となります。

しかし、就業規則はいわば使用者と労働者の「一番身近なルール」ですので、10人に満たなくとも、作っておくべきものです。

http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/b/archives/2006/09/204.php

【仕事中に調べ物をすること】

通常の業務において、その業務を遂行するうえで必要かつ確認のため、また事故を防ぐために、調べ物をすることについては当然認められると思います。特に薬剤など、人命にかかわる場合は、なおさらです。

しかし、調査に時間がかかるあまり、業務に支障が出る場合は、本末転倒となり、業務効率の改善を求めるのは上司として当然のことです。本件の場合は、調べ物が「読書」しているように見えたのかもしれません。また、簡単なことまでいちいち調べていたのでは、薬剤師としての資質も疑われるでしょう。そのあたりを指摘されたのではないでしょうか。

労働中の姿勢に関する条文は特に見当たりませんが、企業は服務規律として「業務に専念する義務」を定めているのが通常です。

http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/179.htm

【店長から「明日来なくていいです!」と言われてしまいました】

こういうことは、よくあることです。

しかし、「明日来なくていい」というのは「会社都合の休業」ですから、出勤しなくても賃金は支払う必要があります。この場合全額ではなく平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

(労基法第26条)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki3.htm

さらによくあることに「もう来なくていい」というのもあります。

雇用契約は労働者と使用者で締結されるもの、つまり代表取締役社長と締結するものです。したがって、その店長が代表者であるならば、その言動は「解雇」通告と成り、法的には有効です。

しかし、店長が代表者でない場合は、解雇通告をする資格はありませんから、それに従う必要はありません。

なお、研修期間中も、試用期間中も、正規の労働時間として労働基準法は適用されます。