[255]読者Q&A『昇格減給』

2012年10月28日

■読者からの質問
 
次長になって3年。3年間の累積ポイントで条件を満たし、部長に昇進。社長からは、現場のすべての権限をゆだねる。やりがいがある。君に任せる。でも給与はさがる。
そんなことあるのですか?基本給が3万アップ。家族手当て15,000円と住宅手当30,000円計45,000円がカットされ実質?15,000円となります。
責任は重くなる、給与は下がる。がんばれ!そんなことが通用するのでしょうか?部長を目指してがんばれといわんばかりの3年間の累積ポイント制は詐欺行為だとおもい訴訟を起こそうかと思っています。勝ち目はありますか?

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

『昇格減給』

たとえば課長から部長に昇格すると実質給料が減ってしまう逆転現象を昇格減給といいます。
通常は、残業の付く平社員から、残業の付かない管理職になったばかりのときにこのような昇格減給はよく発生します。しかし、その後の役職手当などにより昇格減給状態は解消されるのが常で、これが解消されないとしたら「名ばかり管理職」として、会社の意図的かつ不合理なコスト削減策として糾弾されるべきものと思います。

・通常起こる昇格減給

平社員時代は基本給30万円に、残業代が恒常的に7万円付与されていた。課長に昇進したら、役職手当5万円が付いたが、残業代が付かず、結果減給に。
そしてお尋ね場合のように、
平社員時代は、家族手当、住宅手当が合わせて7万円付与されていた。課長に昇進したら、役職手当5万円は付いたが、家族手当、住宅手当てが付かなくたので結果減給に。

このようなことはよくあることで、昇格については業務命令のため拒否することができませんが、明らかに減給を目的とした昇格は、人事権の乱用ということで、裁判を起こすことは可能です。

しかし、今までの判例では、昇格時に逆転したからといって即人事権の乱用と判断されたことはありません。つまり法律は現状ではこのような状況を容認しているのです。したがって裁判を起こしても勝てる見込みは少ないですし、そのために消耗する労力・精神力を考えれば、このまま甘んじるほうが得策かもしれません。

また、本件の場合「基本給が上がった」ということですが、基本給が上がるということは賞与、退職金も上がるということです。会社としては、すべての算定のベースになる基本給はあまり上げず、諸手当で昇給をカバーすることが多いのです。万一降格になった場合でも、諸手当の場合はカットできますが、基本給を下げることはなかなか難しいのです。基本給が上がったということは歓迎すべきことと思います。

部長になったということで少し偉くなった分、会社の経営方針にも意見することができるようになると思いますので、このような昇格減給が起こることの弊害を社内で啓蒙し、会社全体を前進させるほうがいいと思います。「自分はいずれ社長になる。そのときは皆が働きやすいように、給料はがっちり支給する」というような意気込みで対処されたらいかがでしょうか。
 
ちなみに、昇格になった場合の手当てですが、従前の給料よりも上がるように役職手当を設定するのが普通です。しかし一般的な役職手当は部長クラスで7万円、課長クラスで5万円、係長2万円というのが相場なので、これを見る限管理職でない係長から、管理職の課長にはなりたくないという人が多いのはうなずけます。
これをリーズナブルに考えるならば、係長の役職手当は残業が付くので1万円程度。課長の役職手当は全行代が付かないので10万円、部長の役職手当ては15万円とすれば、皆がんばるのではないでしょうか。