[260]読者Q&A『試用期間を延長させられた』

2012年10月12日

 

■読者からの質問
 
アパレル系の会社(販売)に転職した20代の女性です。このたび、試用期間について、よく分からず、また納得できないことがあったので、相談のメールをさせていただきました。
 
アパレル系の会社に入社の際、「3ヶ月から6ヶ月は試用期間としてアルバイト扱いになる」と言われて承諾し入社したのですが、6ヶ月経っても正社員についての案内がありませんでした。
 
私は、交通機関の遅れで1度だけ5分ほど遅刻したことがある程度で、あとは遅刻・早退・欠勤もしていません。このような対応をされ、もう不信感でいっぱいで、再転職を考えています。法的には、この試用期間の無告知での延長というのは、認められているのでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。かなりの長文でしたの要点のみとさせていただきました。で、例によってアバウトに答えさせていただきます。行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
試用期間というと「試しに使える労働力、とりあえず働いてもらって、採用するかどうかは後になって考えよう」みたいなイメージがあります。しかし、法律は試用期間はほとんど本採用に近いものとしてとらえています。試用期間をとりあえずの採用と安易に考えていると使用者は痛い目に遭うかもしれません。
 
試用期間とは?
 
採用の前に、履歴書や職務経歴書を確認してもその人物を的確にとらえることはできません。そこで一定期間試しで雇ってみる試用期間という制度が設けられています。
 
試用期間を設けるかどうかは、会社の意向によります。試用期間を設けない、としても一向に構いません。しかし試用期間を設ける場合には、そのことを就業規則に盛り込まなければなりません。【←重要】
 
また、試用期間というのは採用されるのか不採用なのか、試用される労働者にとっては心理的負担を強いる期間です。そこで試用期間については期間を定めることが必須となっています。【←重要】
 
期間については労働基準法では規定がありませんが民法の解釈上そうなっています。したがって「いつまでも試用期間」というのは認められません。試用期間の長さは一般的に3ヶ月、もしくは6ヶ月が多いです。最長でも1年が限度となっています。
 
試用期間が終わった場合、その試用期間を延長するような場合は、まず就業規則を確認します。就業規則に3ヶ月、とあれば、それ以降の延長は認められません。延長が可能な場合は、その延長のことも就業規則に記載する必要があります。就業規則にその記載があり、かつ延長するに値する正当な理由がある場合のみ延長が認められます。
 
試用期間中の適格性をみて試用期間終了後に不採用とする場合、法律上は「解雇」になります。つまり試用期間中であっても解雇の正当性が問われるということです。
 
適格性の判断項目例:
 
・出勤率不良
・3回以上無断欠勤
・勤務態度や接客態度が悪く、注意を受けても改善されなかった場合
・協調性を欠く言動や粗暴など、従業員としての不適格性がうかがえる場合
・経歴詐称
など
 
試用期間は教育や指導をする期間でもあるので、上のような不適格事由があったとしても、いきなりの解雇は認められず、その期間中にどのような教育・指導をしたかがポイントになります。また試用期間を延長するためには、延長せざるを得ない特別の事情があって、更に本人の同意も必要です。
 
使用者側としては、延長する期間を定めなければ本採用したと判断されますので、やむを得ず延長する際は必ずその期間を定める(同意書などを取り付ける)ようにする必要があります。
 
で、結論ですが、店長ではなく、社長に掛け合うこと。同時に労働基準監督署に匿名で相談するのがいいでしょう。社長が同じような対応をしたら、この会社はなんだかんだといちゃもんを付けて試用期間を延ばそうとする「試用期間について何の知識も無い会社」なので、転職を考えたほうがいいでしょう。
 
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