[269]読者Q&A『社内一斉有給消化日』

2012年10月28日

 

■読者からの質問
 
会社の指定で一斉に11月4日に有給休暇を当てはめることになりました。有無を言わせず有給休暇の消化として扱われていることは、法律上、正しいのでしょうか?
 
■たまごやの回答
 
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
 
『社内一斉有給消化日』
 
今年は11月3日が木曜日。11月4日(金)を休みにすれば5日(土)、6日(日)と4連休になる会社も多いと思います。ちょっとした大型連休です。しかしそれを一方的に決められてしまうと不満を持つ方も多いでしょう。年次有給休暇は労働者の意思によって取得できる休暇だからです。
 
このように会社が一方的に有給を取得させることは、「労使協定を締結していれば合法」となります。「労使協定を締結していない場合は違法」となります。関係条文は労働基準法第39条6項です。

【39条の6】
『使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項から第3項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。』

http://www.tamagoya.ne.jp/roudou/rouki4.htm
※ホームページでは古い記述なので「5項」となっています

 

この条項によれば労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者との書面による協定、つまり労使協定を締結していれば、年次有給休暇の5日を越える部分については有給休暇の消化を会社が決めることができるとしています。
 
たとえば有給休暇が20日ある場合は15日分を、15日ある場合は10日分を会社が消化させることができます。残る5日については、労働者に自由に消化できる自由を残していますので、年次有給休暇が5日しかない場合は会社が指定消化させることはできません。
 
したがって、労使協定があっても、年休の付与が5日しかない人(5日しか残っていない人ではありません)は11月4日を休みにすることはできません。
 
まずは労使協定が締結されてるかどうかを確認しましょう。そしてあなたに付与された年次有給休暇が5日以上あるかどうかを確認しましょう。
 
この39条6項はなかなか消化できない、しにくい年次有給休暇を積極的に消化させるための条文むしろ労働者に味方した条文といえるでしょう。

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