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[94]流しの行商(1)豆腐屋

第94回

■流しの行商(1)

《豆腐屋》

豆腐屋は時計代わりになりますね。朝に夕に大体決まった時間にあの独特の笛を吹きながら廻って来るのです。あの変わった形の真鍮のラッパのような音は懐かしいですね。この頃は全然聞かれなくなりましたが・・・・この音を聞くと母がお鍋を渡して何丁買ってお出でと・・言いつけます。この頃は大抵自転車に積んだ桶に豆腐が水につかっていましたが、もう少し古い時代は天秤棒の前後ろに水桶を担いで売り歩いていたようです。夕方に此のラッパの音を聞くと遊んでた子供達は家に帰ります。

♪ 夕焼け 小焼けで日が暮れて
山のお寺の鐘が鳴る お手々つないで皆帰ろう
烏と一緒に帰りましょう    ♪

この歌は時代が変わっても、子供達は唄いつなげていますよね。ちなみに此の歌は中村雨紅の作詞で、日本全国に一五基の歌碑があるそうです。

《納豆売り》

これは毎朝貧乏な子供が学校へ行く前に、親の手伝いにやった職業の一つでした。大きな声で「なっとう・なっとう」と叫びながら流して歩くのです。此の当時の「納豆」は麦藁に包んだものでした。大抵10本束だったようですが、一生懸命に働いていました。果たして幾らになったのでしょうか?

《しじみ売り》

これも朝早くから家の手伝いで売り歩く子供が多かったようです。「しじみ・しじみ」と叫んで流していたようです。

大体自転車の後ろの荷台に大きな箱が積んであって、鍋を持って買いに行くと、其の箱の中からマスで計って鍋に入れてくれる。「あさり」なんかも同じように売っていたようです。

《新聞配達・牛乳配達》

これは物売りとは違いますが、学校へ行く前に働く子供も多かったようです。兎に角朝は早いですね。5時には新聞は来ていましたもの。うちでは「報知新聞」を取っていました。毎朝郵便受けに取りに行くのが役目でした。そして寝ている父の枕元に置くのですが、その前に一寸広げて見てしまいます。その見る所は「不動産」の売り手の広告欄です。小学生の時から「不動産」に興味があったのですかね? 自分でも分かりませんけど・・。

牛乳配達も契約で、その牛乳屋の専用の牛乳箱が表に取り付けてあり、飲んだ空き瓶を入れておくと、今日の新しいものを入れて置いてくれるのです。これは現代でも同じですね。

以上の「納豆売り・シジミ売り・新聞配達」「牛乳配達」は殆ど子供達が親の手伝いでやってたものと思いますが、現代と比べると昔の子供達は感心でしたね。


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コメント

昭和30年代の頃ですが、わたしも朝夕にピープーと鳴るラッパの音がすると、鍋やボールを持って慌てて買いに走ったものです。
 自転車の荷台に積んだ豆腐が入った箱の下の引き出しには厚揚げ、薄揚げ、納豆が入っていました。博多はそれにおきゅうとという海藻加工品もありました。
 豆腐は一丁10円でした。入れ物がないときは木の薄皮にくるりと巻いて渡してくれました。
 今は懐かしい思い出ですね。

思い出は大事にしましょうね。二度と帰って来ないですからね。私の時代は、豆腐屋さんは独特のラッパを吹いて来るので、時計代わりでした。何時でも同じ時間にくるからです。私らの時代は、天秤棒を担いで、ゆらゆらと歩いて売りに来ましたね。懐かしいです。

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