tax[030]相続税(配偶者の税額軽減特例)

2013年5月30日

例えば遺産が5億円あったとします。これを配偶者と子供一人が相続する場合の相続税は7230万円ですが、配偶者が無く子供が二人の場合は、相続税は1億4460万円と2倍になってしまいます。

この違いは、配偶者には特別な「配偶者の税額軽減」という特例があるからです。もともと「遺産の半分は配偶者のもの」という法律上の解釈が根拠となっています。つまり遺産相続の時は、なるべく配偶者に多く配分されるようにしておいたほうが、節税になるということです。

(配偶者の税額軽減は、遺産総額の配偶者の法定相続分相当額もしくは1億6千万円)

また相続税は、相続する人数が多いほど軽減されます。基礎控除や各人の法定相続分の減少に伴う税率の低下が原因です。そのために、相続に備えて養子をとることが以前は多く行われました。養子は法的に血縁とみなされるからです。しかし、このような税逃れの為の養子縁組は人権上好ましくないとされ、このような養子縁組をしても相続の時は認められなくなっています。

更に、相続税は遺産が少ないほど税率が低く、遺産が多くなるほどに税率が高くなる累進課税という方法を採っています。したがって、遺産が多くなればなるほど税率が高くなり、税額もそれに伴って跳ね上がります。全く国もうまい方法を考えたものです。

さて、相続は配偶者に遺産配分を多くしておく方が節税になることはわかりました。でもよく考えると、その配偶者が亡くなった時は今度はその子供が相続することになり、配偶者の税率軽減は適用されませんから、ごっそり相続税を払うことになります。

結局、遅かれ早かれ税金は払わなければならないというわけです。一番の節税は、遺産を残さないという極めて明快な結論に達するわけですが、それでは身も蓋も無いので、新たな節税対策を考えます。それは次号にて!

2000.6.15
2004.10.12加筆修正