tax[143]相続の開始

2013年5月31日

人が死亡したときに、その人の持つ財産や負債を妻や子供が受け継ぐことを、相続といいます。受け継ぐのに何の手続きも要りません。この場合死亡した人を被相続人、受け継ぐ人を相続人といいますが、相続は被相続人が死亡した瞬間から自動的に始まってしまうのです。死亡したことを知らなくても相続は開始されています。

また死亡が確認できない場合でも「失踪宣告」を受けた場合は、その時点で相続が開始されます。失踪宣告とは、行方不明になった人が生死の確認ができないまま7年が経過した場合、死亡したものとして戸籍を取り扱う制度です。失踪宣告は裁判所に申請して宣告してもらいます。

失踪宣告して遺産相続も完了した後、ひょっこり本人が帰ってきた場合はどうなるのか?

この場合は、失踪宣告を取り消すことができます。また相続も無かったことになります。つまり、相続は無効となり、相続したものは返さなければいけないのです。ただし、すでに使ってしまった分については返す義務はありません。残っている分については返却しなければならないのです。相続人の気持ちは複雑なものとなりましょう。

さて、相続は被相続人の権利義務一切を引き継ぎます。財産や債務の額の計算も、死亡時点での価額が基本となります。死亡と同時に相続が開始され、一定以上の財産があった場合には、その額に応じて相続税がかかります。
また、遺言がある場合は、これに基づき財産を分けます。これを「遺贈」といいます。遺贈の場合は、家族(法定相続人)のみならず、全くのアカの他人や団体や愛人でも相続することができます。もちろん相続税もかかります。

死亡を起因とするものに死因贈与というのがありますが、死亡を起因とする契約のため、形は贈与でも贈与税ではなく相続税がかかります。

死因贈与と遺贈は似ていますが、遺言による相続で相続人の意志とは関係なく相続が開始されるのが遺贈。死因贈与は「死んだらあげる」という要件を、相続人と被相続人が共に承知した契約である点が異なっています。

ちなみに、「生前贈与」は相続ではなく贈与なので、相続税ではなく贈与税がかかります。

2003.04.17