tax[187]相続時精算課税制度

2013年6月2日

平成17年12月末までの制度として「相続時精算課税制度」というのがあります。相続や贈与を検討されている人は、まずこの制度の利用を検討しておく必要があると思います。あと3ヶ月足らずなので、急ぎましょう。

この制度は、一定の条件のもとに2500万円までの贈与について非課税になり、さらに住宅資金の贈与に関しては3500万円までが非課税になるという制度です。この制度は65歳以上の親から20歳以上の子供にのみに適用できる手続きです。相続の前倒しなので第三者への贈与は対象になりません。

ただし、この制度は生前贈与を奨励するかのような制度ではあるのですが、その名前の通り「相続時には遡って精算課税する制度」でもあるということを理解する必要があります。

つまり、この制度を使って2500万円の生前贈与を受けた場合でも、相続時にはその金額を加算されてトータルで相続税が計算されるということです。

現行の贈与税の制度では、年間110万円の贈与まで非課税です。例えばこの贈与を10年間続けた場合は1100万円の贈与になりますが、相続時にこの金額が加算されることはありません。そして相続時には、6000万円の非課税額内(仮に相続人が子供一人として)ならば、総額7100万円に対して結果として税金が掛かりません。

しかし相続時清算課税制度を利用して、1100万円を平成17年内に生前贈与した場合は、相続時にそれを加算した額が6000万円を超えた場合は、越えた部分の1100万円に改めて相続税が掛かってきてしまいます。

贈与する金額、そして相続時の相続財産の額によって相続時清算課税制度を利用するかどうかはケースバイケースとなります。基本的には、長期にわたった計画的な贈与が節税になることは言うまでもありません。

相続税 贈与税
(相続時精算課税)
贈与税
〔税率表〕 〔税率表〕 〔税率表〕
平成15年1月1日以降の相続 平成15年1月1日以降の贈与 平成15年1月1日以降の贈与

各法定相続人の取得金額

税率

~1,000万円
~3,000万円
~5,000万円
~1億円
~3億円
3億円超

10%
15%
20%
30%
40%
50%

課税価格

税率

非課税額を超える部分について 一律
20%

各法定相続人の取得金額

税率

~200万円
~300万円
~400万円
~600万円
~1,000万円
1,000万円超

10%
15%
20%
30%
40%
50%
〔基礎控除(改正なし)〕 〔特別控除(非課税枠)〕 〔基礎控除(改正なし)〕
全法定相続人が取得した遺産総額に対し、5,000万円+(1,000万円x法定相続人数) 2,500万円(限度額まで複数回使用可)
住宅取得資金等の贈与の場合、3,500万円(1,000万円の上乗せ)
各受贈者に対し、110万円(毎年)

2005.10.04