tax[026]居住用財産の買換え特例

2013年6月2日

前々号で、居住用の財産を売却した時はその売却益に対し3000万円まで控除されると書きました。しかしそれを上回る売却益が生じた場合にはやはり課税されることには変わりありません。そこで税法では、買換え特例を制度を設け、税負担の削減を図っています。

買換え特例とは簡単に言えば、売却益が出てもそれを上回る住宅を購入した時は税金を払わなくていいという制度です。

例えば、原価2000万円の住宅を6000万円で売却したとします。単純に4000万円の売却益が出ますね。そのうち3000万円は控除されますから、残り1000万円に対し税金がかかります。しかしここで、新たに住宅を7000万円で買った場合は課税しないというものです。つまり、不動産を売ったお金をすべて使ってしまえば税金はかからないという仕組みになっています。

ただし、売却益に対する税金をすべてまぬかれるのかというと、そうではなく、将来に繰り延べる性質のものです。つまり、将来、その不動産を売却した時には原価は引き継ぎますから、譲渡すれば改めて譲渡益に対する課税対象が浮上してきます。

したがって、この制度を利用するよりは、3000万円の特別控除をして残りの課税額を払っておく方が有利な場合もあります。この辺は将来に対する経済状況や展望によって微妙なところです。

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