tax[182]個人事業と税金[7]欠損金(純損失)の繰越

2013年6月2日

個人事業の場合は、青色申告をすると純損失の繰越控除や繰戻し還付が受けられます。事業年度において事業所得が赤字になった場合は、翌年以降3年間にわたって繰越することができ、翌年度等に黒字が生じた場合と相殺することができます。つまり本来ならば黒字が生じたら所得税が課せられますが、前年度の赤字を今年度の黒字と相殺ができるということです。

これが法人の場合は更に優遇されていて、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除は翌年以降7年間にわたって繰り越すことができます。

◆個人事業の場合の繰越純損失⇒翌年以降3年間繰越可能
◆法人の場合の繰越欠損金⇒翌年以降7年間繰越可能

ただし法人の場合は以下の条件があります。

欠損金の繰越控除をする法人は、欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出していること。かつその後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人であることが要件です。

※欠損金額が生じた事業年度に青色申告書を提出していれば、その後の事業年度が白色申告書であっても、この繰越控除の規定が適用されます。

繰越控除される欠損金額は、各事業年度開始の日前7年(平成13年4月1日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額については5年)以内に開始した事業年度において生じた欠損金額であることとされます。

繰越控除する欠損金額は、その事業年度の所得金額を限度とします。例えば繰越欠損金の額が150万円でその事業年度の所得金額が100万円の場合には、150万円のうち100万円が損金に算入されます。

損金算入の順序は、繰越欠損金がその事業年度開始の日前7年(平成13年4月1日前に開始した各事業年度において生じた欠損金額については5年)以内に開始した事業年度のうち、複数の事業年度において欠損が生じている場合には、最も古い事業年度において生じたものから順次損金算入します。例えば平成13年4月1日以降に生じた欠損金は、最長平成20年まで繰越が可能となります。

このように平成13年4月1日以降の欠損繰越可能年数が7年になったのを契機に、従来保存期間が5年間とされていた帳簿書類については同じく7年間に延長されています。

2005.07.31