tax[109]連年贈与

2013年6月3日

M様>

たまごやさん はじめまして。最近このメルマガを知りまして、「これはいい!」と思い第1号からバックナンバーを読んで税金の勉強をしている者です。
さて 現在私は 約500万円の父名義の預金を私の名義にするようにと親に言われております。するようにと言われても 普通に私にくれたのではかなりな贈与税がかかると思います。基礎控除額が120万円になるそうなので 1年に120万円ずつ5年かけて貰う… と考えていたのですが、最初から500万円あげるつもりだったと税務署に思われたら やはり贈与税がかかる、というような話を聞いたのです。そこで いっそのこと贈与税を払おうと思います。1年に130万円貰って 基礎控除後の10万円にかかる税金は1万円ですから、これくらいは払ってもいいと思います。で 3年間この方法で130万円ずつを貰い、4年目は110万円(これは非課税ですよね?)   ということです。どうでしょうか、私の考え方は。たまごやさんのお考えを 聞かせてください。どうぞよろしくお願いします。

たまごや>

お便りありがとうございます。基礎控除額は120万円ではなく110万円ですね。結論から申し上げれば、当初の500万円贈与が本質であり、それをどう分けようと贈与税を払おうと計画性のある連年贈与ということになると思います。しかしこれをうまく避ける裏技はあります。ということで、今日のお題は「連年贈与」ということでご説明差し上げます。

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■連年贈与

平成13年度税制改正で平成13年1月1日以降の贈与についての贈与税の基礎控除額は、60万円から110万円に引き上げられました。基礎控除額が引き上げられたことを受けて相続税対策としての生前贈与が注目されています。

贈与税は1年間に個人が贈与を受けた財産の課税価格から基礎控除額を控除した残額に税率を適用して算出されます。つまり基礎控除額110万円以下の贈与であれば贈与税はかかりません。

たとえば現金1000万円を一度に贈与すると贈与税は
(1000万円-110万円)×45%-140万円=260万5千円

と算出されます。しかし、毎年100万円を10年間贈与する場合は各年において基礎控除110万円以下なので贈与税は0となります。

ところがここで気をつけなければいけないのが連年贈与です。毎年一定額の贈与を行う連年贈与には計画性があるということで、当初の1000万円に対して課税される虞があります。つまり贈与額1000万円を分割しただけに過ぎないという解釈です。

そこで、連年贈与とみなされないようにする工夫が必要になってくるのです。

◇毎年額を変える

金額が毎年の同じだと計画性を疑われます。今年は100万円、翌年は150万円という具合にします。

◇贈与契約書をその都度作成する

贈与契約書は毎年日付をずらして作成します。初めに1000万円の贈与契約書を作ってしまっては、毎年100万づつ10年にわたって贈与を行った場合でも1000万円の贈与があったものとして課税されてしまいますので注意。

◇贈与税の申告書を提出する

基礎控除以下であっても申告書を提出し、客観的証拠を残しておきます。なお贈与税を払っても、連年の計画性があれば連年贈与とみなされます。

◇資金の移動は銀行口座を通す

贈与をするほう、受けるほうともに銀行の口座を通し、記録しておきます。これが客観的証拠になります。

◇贈与資産の種類を変える

毎年現金だと怪しまれますので、あるときは不動産、あるときは株券などバラエティに富ませます。

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100万円を10年に渡って計画的に贈与するようなことを「有期定期金」の贈与といいます。この場合は1000万円に対して贈与がかかるといっても税率が違いますのでそれほど心配することはありません。計算式は省きますが、上記一括の場合の260万5千円に比べ、42万5千円と税額もかなり低くなっています。