[309]結納あれこれ~結納の前に~

男女が愛し合い、一緒になって愛を育み形にするのが結婚です。子孫を残すため、生涯を共にするため、夫婦として社会に参加するための儀式ですが、その前哨戦といえるのが結納です。

結婚も形ある式典であるように、結納も二人の愛の約束を具体的な形しておくことが目的です。最近では本人同士がよければそのようなものも不要と考える人も多いと思いますが、今後の人生の重さを考えれば結納式もやっておいてもいいものかもしれません。古代より伝わるしきたりと言うのはそれなりに意味のあることだからです。

まずは当人同士が結婚することを口約束する。その約束を形にあらわして周囲から祝福を得る。また相手の親に対して誠意の気持ちを形にすることである結納は、自分達の気持ちの上でも、ある意味で区切りをつけることになるでしょう。結婚しようとする二人にとっての最初のステップが結納ということになるわけです。

これからは数回にわたり、結納の実際をコラムにしてお届けします。

さて、結納の前にある難関は、まず当人同士の結婚意思の確認。つまりプロポーズです。それがクリアしたら、次は相手の家に行ってご両親の了解を得ること。結婚の承諾をもらう訳ですから男性にとっては一番緊張する場面でもあります。

普段から面識があればスムースに事は運びますが、内緒にしていた場合などは向こうの親からすれば藪から棒。親としても一番驚き、かつ感慨深い一瞬でもあります。

親を驚かせないように、通常は当人同士の事前打合せしておき、一般的には男性が女性宅へお伺いしますが、最近はレストランやホテルで席を設け、食事がてら話をするというパターンも多くなっています。

その際男性側は手ぶらでもなんですので、菓子折り程度のものは持参しましょう。菓子折りの中身は無難なお饅頭などにし、羊羹やカステラなど「切る」ものは避けたほうが良いとされます。

菓子折りは直接面と向かってお渡しすることになるので、この場合は外熨斗とします。外熨斗とは包装紙の上から熨斗をかける方法で、誰が何の目的で伺ったかが一目でわかるようになります。

結婚は一度きりという意味がありますので「結びきり」ののしに上書きは「寿」の文字、下には苗字を書きます。できれば風呂敷で包むのがより正式です。服装は普段よりややフォーマルなものでびしっと決めましょう。日取りは仏滅の日を避ければどの日でも構いません。

話題については特に意識する必要はありませんが政治や事件の話、宗教の話はこういう席には向きません。世間一般的な明るい話題を取り上げるようにします。趣味の話や食べ物のお店の話、仕事の話、天気の話や将来にも関係する結婚式のスタイルなど、気楽な話題がいいでしょう。天気や気候の話というのはありきたりですが、こういう席には欠かせないこれも伝統の技といえます。

話が弾んでも大体2時間を限度に切り上げるようにします。楽しい話題は次回に持ち越しましょう。これで成功したら、次はいよいよ結納です。

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