[197]拝啓、山根一眞さま

日経新聞を購読していると土曜日に「日経プラス1」という特別版が届きます。その中で山根一眞氏の「デジタルスパイス」というコラムが連載されています。なかなか面白いコラムなので読んでみてください。

この「プラス1」の2004年3月6日号14面に「基本を見直したいメールのルール」という見出しで、メールの引用符やサブジェクト、複数相手の送信の仕方などが記載されています。今回はたまごやが山根氏に反論を申し上げたいと思いますので、もし手元に新聞がある方はご確認いただきたいと思います。

氏の考え方は、

1. 引用符は内容に沿ったものに変える
2. サブジェクトも「Re:」ではなく内容を伝える題名に書き換える
3. 複数相手の送信にはBCCを使うべき

というのがコラムの概要。

まず、氏は電子メールを郵便信書と同列に論じています。これがそもそもの間違いではないでしょうか。電子メールは郵便信書とは別物であり、したがって使い分けなければならないのです。

電子メールのいいところは

* 引用符が付くので話の前後関係が分かりやすい
* サブジェクトを同じものとすることにより雑多なメールから目的のメールを選びだすことができる

だから便利なのです。

これを、サブジェクトも変えてしまったら、どれが返事なのかメールフォルダの中で迷子になってしまいます。引用符が無かったら、話の往復で、はて?どういう話だったかと前のメールを探し出すことに手間取ります。

電子メールでは良かれと思う「見た目の誠意」や「気配り」も時に障害になることがあります。まず内容の正確性が求められるのが電子メールだと思います。

では、もっと誠意を見せるにはどうしたらよいか?

それならばいっそ電子メールではなく郵便を使えばよいのです。年賀状や年賀欠礼、暑中見舞いなどの時節お伺い、お礼状は電子メールでは役不足です。お歳暮やお中元は実際にお宅に伺えばよいのです。あるいは電話をしてもいいでしょう。これが誠意というものです。

電子メールに多くを望んではいけません。

なお、複数の相手に同じメールを同時に送信するときに「TO:」に複数のアドレスを入れるとそれぞれにアドレスが列記されてしまいセキュリティに問題があるとしています。氏のおっしゃるとおり全くそのとおりです。しかしそのあと、TO:ではなくBCC:で送ればよいとしているのですが、これは残念ながら誤りです。

BCCは確かに複数のあて先をBCC(Blind Carbon Copy=目隠し、伏字)とすることができますが、あて先のアドレスまで目隠しにしてしまいます。つまり、自分宛がどうか分からないメールが自分宛に届くのです。これは悪質なスパム業者が行なっている手口と同様であり、現状では信用を落とすこともありえますのでBCCは使わないほうがいいでしょう。

一番良いのは、複数相手であっても、一通づつ宛先アドレスを指定してメールを送信することです。メール文をコピーペーストをすればたいした手間でもないし、ちゃんとそれぞれの相手の名前を入れることもできます。一括メール文では相手の名前は入れられませんよね?

誠意、愛情は手間暇かけるのが原則と思いますがいかがでしょうか?

●メールのマナーやってはいけないことは「メールサポートの達人」で
メールサポートの達人