[153]休憩中の店員

物販店でも飲食店でも昔は「勝手口」あるいは「従業員専用口」というのがあって従業員の出退勤はそこから出入りしていたものです。極力お客さんの目に触れないようにするのが美学でした。しかしこれらの裏口は防犯上管理が難しい。

たとえば深夜営業のファミレス。裏から仕事場に入るのには店内の従業員を呼ばなければなりません。人員も減らされているときに裏口を開けるのも手間がかかります。かといって鍵を開放するわけにもいかず、苦肉の策として登場したのが「表から入る」です。つまり従業員も納入業者も客と同じ入り口から入るのです。納入業者は表から入って自分で裏口を開け、そこから納品するというわけです。慣れていないバイト生がいると毎回「いらっしゃいませ」を言われてしまいます。

これら一連の出入りを客の立場から見るとあまりカッコよくないし、なかには失礼な、と怒り出す客もいるのではないかと思います。しかし、物騒な世の中ですから、会社としても事故を起こすわけにはいかない、ということでやむをえないのが現状でしょう。

同じような理由で、客用のトイレと従業員のトイレを分けない店も現れてきています。客用と従業員用を分けてしまうと客用のトイレを従業員が誰もチェックしません。従業員が使えばその使用した人数分のチェックは入るわけです。汚れていたら掃除して出てくる。これだけでもずいぶんときれいになると思います。またトイレに不審なものが置いてあったり不審な人物がいたりするのもチェックできます。これも防犯効果があります。

しかし普段いなかった場所に従業員がいる光景が多くなるとその言動が気になるところです。休憩中とはいえトイレで大声でしゃべっている従業員はひんしゅくを買うでしょう。また買いに行った弁当をぶら下げて店内をうろつくのも考え物です。制服着用の職場では店内でうろうろしているととても目立ちます。思わず名札を確認したくなりますねぇ。そのときに名札が裏返しになって休憩中ということがわかるのですが、なんともみっともない。

昼休みというのは、服務から開放されている時間ではありますが、何をしてもいい時間ではありません。制服を着ていたらなおさらです。お客は常に従業員を探しています。いつも見られているのですよ。そういう自覚を忘れてはいけませんね。