[104]味噌汁かけごはん

皆さんは味噌汁とご飯にかけて食べることがあるでしょうか?これには色々な意見があって、行儀が悪いとする意見と、そうではないとする意見とがあります。まぁ結局のところ状況に応じてということになるのでしょうが、知らない人が大勢いるところではあまりやらないほうがよろしいかと思います。

私も、子供のころは味噌汁をかけてご飯を食べた記憶があります。今はほとんどやりませんが、たまに昔を思い出して、わざと味噌汁をかけて食べることもあります。するとアラ!不思議!子供のころの記憶が鮮明に見えたりするんですね。

昔は今ほどご飯が美味しくありませんでした。コシヒカリなどという米は無く内地米のほか、外米なんてのもありました。内地米は日本国内で獲れたお米です。外米は海外から輸入したお米です。今ではカリフォルニア米など美味しい米がありますが当時はパサパサで全く美味しくありません。そういう米を炊いたご飯は子供ながらに食いが悪かったのでしょう。そこで親が苦肉の策として味噌汁をかけて食べさせたのではないでしょうか。

味噌汁自体も今から考えると決して美味しいものではありませんでした。ダシといえば煮干か鰹節です。ちゃんととれば美味しいのでしょうが、一般の家庭ではそういう手間ヒマはかけられません。また便利な「ダシの素」も無い時代です。美味しいはずがありません。美味しくないご飯に美味しくない味噌汁をかけて食べる。これは昭和30年代の食文化なのかもしれません。

さて、洋食のフルコースではオードブルがまず出て、そのあとにスープが出ます。パンはオードブルの時に出てくる場合もありますが、スープと一緒にいただくのがマナーです。その時に、パンをスープにつけて食べても構いません。ちょっと意外ですよね。

日本のパンは世界でも珍しく柔らかいのが特徴です。したがって、パンをジュースやスープに浸して食べるということはあまりしません。しかし、ヨーロッパではパンは「固いもの」なのです。だから、スープやジュース、ワインに浸して食べることはちっともマナー違反になりません。むしろ浸さないと固くて食べられなかったりします。

フルコースではそういう理由によりパンをスープにつけて食べてもマナー違反になりませんが、これを一般の食卓でやったらどうでしょうか?また、パンもしっとり柔らかいものだったらどうでしょうか?パンをワインにつけて食べるということはしないでしょう。したらお行儀が悪いと思われてしまうでしょうね。

ラフな場面ではラフな行為がマナー違反になり、改まった場所でラフな行為が伝統的な食べ方であるというのは考えてみれば不思議ですが、マナーは時と場合によって変わるという典型的な例といえると思います。