[071]釣銭間違え

最近コンビニやスーパーのレジで気が付くのが、お預かりした時の金種の読み上げが徹底していること。「1万円お預かりします」あるいは「5千円お預かりします」と大きい声で確認する。これはいいことです。

昔は1万円札も5千円札も千円札も聖徳太子の絵柄だったのですが、そういう間違えやすい時代であってもレジで金種を読み上げることはしなかったように記憶しています。おや、レジがなかったかも?いやありましたよね?

いずれにしても、受け取ったお札はどっちだったかでお客様との間でトラブルはありますし、レジ係からすれば、レジ締め後に丁度5千円合わないときなどは受け取るのを間違えたか、あるいはお釣りで出す5千円を間違えて1万円でを出してしまったかのどちらかであり、レジ係はやめたくなるくらい憂鬱になります。ただでさえレジとは金額が合わないものですから(なぜなんだ?)

ちょっと前、お預かりする時に「1万円からお預かりします」というのはおかしいという論議がありました。しかもこの光景はよく見られるというわけです。私もどこぞのスーパーで聞いたような気もします。正確には「1万円をお預かりします」であって「1万円からお預かりします」というのは変ですね。どうしてもこういう言い回しを使いたいならで「代金を1万円から頂戴いたします」でしょう。中には「1万円頂戴します」というレジ係も見受けられますが、1万円はあげませんよ。ちゃんとお釣りはくださいね。でもま、意味は通じますし、そういう言い回しによってトラブルこともないと思いますので善しとしましょう。

読者の中には、つり銭を間違えて多くもらってしまったこともあると思います。大体多くもらった時には黙っていて、少ない時は大いに抗議する、というのが一般的なパターンでしょうか。私自身も多くもらった時はご祝儀ということで黙っていることもありますが、その後の担当者が上司からめちゃくちゃ怒られることを考えると、ちょっとお釣り多いよ、と教えてあげることのほうが多いですね。

昔飲食店をやっていたときのことですが、一人のアルバイトを雇いました。小さな店ですから一人でいろいろな仕事をこなさなければなりません。当然レジも教えて任せます。ところが、レジをやらせていたところ、いつまでたってもお客さんが立ち去らない。どうしたのかと尋ねたら、お釣りの計算ができなくなっちゃったという訳です。なんと引き算ができない子だったのです。一応高卒だったのですが。

レジは計算機も兼ねますので、つり銭も自動で計算してくれます。1万円だろうと五千円だろうとヘイチャラです。しかし、一度計算が終わった後に、お客さんが気を利かせて、小銭を出してくれたりするとかえって混乱してしまうんですね。例えば3050円の御代に対して5000円お預かりした場合、お釣りは1950円ですが、ここでお客さんが50円玉を財布から出したりすると、お返しするのが1900円なのか2000円なのかわからなくなってしまうようなのです。

ま、このような時はお客さんが気を効かせ計算してくれますので、問題にはならないのですが、この錯覚を狙ってつり銭を騙し取る犯罪グループもあるようなので、これは気を付けなければなりません。まるで手品のように騙されてしまうそうです。そのためか一万円札の両替は断るお店も多いですね。特に外国人には気をつけましょう、などというと待ってましたとばかり読者からクレームのメールがくるのですが、敢えて言ってしまいましょう。

「外国人の複数のグループがお会計するときは、店長を呼ぶなどこちらも複数で対応しましょう」

つり銭の間違いは、下手すると「店長を呼べ」ということにもなりますから、特に注意したいものです。飲食店の場合などは「お勘定」を「お愛想」というくらいで、一番大事な仕事です。お金を払ってくれるからこそ、いやな客でも我慢するわけです。

レジ場ではお金を扱うために、熟練した人を配備し、間違いが無いように心がけなければなりませんが、もし間違いが起こってしまったときには担当者任せにせず、責任者が赴き直ちに謝る姿勢を見せることが肝要です。ここで開き直ったり不機嫌な態度はご法度です。誠意のある態度で「失礼しました」「申し訳ありません」のおわびをすればお客様もまた来てくれるでしょう。とにかくビジネスの基本は「お愛想」。これにつきます。