[011]労働協約

2012年10月12日

 

労働関係法令は労働に関する最低の基準を定めたものですから、その基準以上の約束事は労使双方で話し合いで決めることができます。これを労働協約といいます。(労組法第14条)
 
労働協約は、使用者と労働者が合意で決める約束ですから、使用者側から一方的に決められる就業規則より、労働者に有利に定められ、しかも就業規則より優先されるものです。しかしながら、日本では労働組合の組織率の低さからあまり有効利用されているとは言えないのが現状です。
 
労働協約はその書式は自由ですが、必ず書面化することと、労使ともに合意したという署名または記名押印が必要です。正式に作成された労働協約は法律上有効と認められます。
 
身近な例では・・・
・昇給にかかわる研修を有給とはっきり決める
・一時帰休の賃金を8割とする(法定6割)
・配置転換の時の条件 等
 
【労働協約の例】
 
●労働契約関係
 
賃金、労働時間、職種、職場など労働の種類や態様等を規定するもの
解雇・退職など労働契約を終了させる基準や要件
採用、昇・降職、配置、解雇、退職などの基準
 
●労働組織関係
 
福利厚生、教育・訓練条項、安全衛生条項、災害保障、扶助条項
懲戒事由とこれに対する制裁を規定した懲罰条項や、解雇協議条項
 
●団体的自治関係
 
組合員の範囲・地位、組合専従の決定、組合活動の限界
団体交渉の条件・手続き・内容、争議行為の時間的・手続き的制限
労働争議調整の条件・方法など団体的自治の態様を規定する条項
 
※いずれも法令や判例を下回ることはできません。