[015]社員教育

2012年10月12日

 

日本の企業は社員教育に金をかけません。営業とか業務には賃金を払いますが、こと教育や研修には金をかけたがらない。しかしよく考えてみましょう。商売は、ヒトモノカネです。モノやカネは基本的に価値は普遍。しかし、ヒトの価値は千差万別。ヒトによってカネは利益を生むし、モノは動く。商売の3要素で一番大事なのが実はヒトなのであります。ヒトの教育に金をかける企業は伸びる。これはまったく正しい。
 
社員教育に関しては、それが労働時間になるかどうかは労働者にとって大事なこと。就業時間内に行われる教育研修は問題ありません。問題となるのが終業時間外に行われる教育研修です。基本的には、その研修が自由参加であるかどうかによって判断されます。
 
自由参加でない場合は、時間外労働となりますから割増賃金の支払いが必要です。
自由参加の場合は【無給】でも違法とはなりません。
 
一般的に通用する資格免許などの取得に関するの教育の場合は、強制であっても無給とする場合があります。これはその資格が会社を離れても本人の利益になるからです。
 
また、参加が任意であるけれども、その研修が将来の昇給に関連する場合は、時間外労働として有給にすることが望ましい。なぜならその研修を受けないとすると、受けた人と比較して結果的に不利益をこうむることになるからです。
 
「使用者が実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる参加の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にならない(昭和26年1月20日基収2875号)」
 
しかしながら現状ではこういった無給扱いの研修は多いです。使用者労働者ともに教育には金がかかることを認識し、しかしそれは強いては企業の強力な武器となることを念頭において取り組んでいくべきでしょう。教育に関する時間を労働時間とするかどうかは、就業規則および労働協約に記載することができます。