[028]福利厚生の低下

2012年10月12日

 

前回では労働条件の不利益変更は労働基準法の法の精神に反するということを書きました。しかし労働者を取り巻く実情はますます厳しくなるばかりです。

 
以下は、とある新進企業の労働者(パートタイマー)から福利厚生の低下(会社にとっては単なる経費節減)が労働条件の不利益にあたるのではないか?ということで、抗議したいので、参考となる文書がないかという問い合わせに対し、私が作成したものです。厳密にいえば福利厚生の低下は労働条件ではないので、不利益には当たらないものであるし、金額的には不利益となるといってもたいしたことはないのですが、会社が簡単に規則を変える風潮にに釘をさす意味で抗議するとのことです。
 
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題名:福利厚生の低下について
 
先日従業員使用のユニフォームにつき、各自自分でクリーニング管理するように指示がありました。更にユニフォームを会社に置いてはいけない旨の指示もありました。これらについて異議を申したてます。
以前は会社でクリーニングをしていただき、本業を持つパート・アルバイトの従業員には便利に使わせていただいていました。ところがこれを自分で管理洗濯するとなると、労働時間外にその管理に時間を裂かなくてはならなくなります。これは他に学業や本業を持つパートアルバイトにとってかなりの負担になります。
またユニフォームを会社に置いてはいけないとなると、通勤通学途中に勤務につく場合は持ち歩かなければならないことになります。もし万一忘れたときは自宅まで戻らなければならず遠隔地にある時はその日の就業が難しくなります。また、突然の退職の時などはユニフォームの紛失や返却してもらえないなどの事故も有り得ます。更にいえることは各自自宅にて管理するとなるとユニフォーム自体の数が足りなくなる恐れがあり、今までより数量を多く準備しなくてはいけないことになり、かえってコスト高になるのではないでしょうか?
 
就業規則にはユニフォームの件に関しての記載はなく、労働者個人に負担させるものがあるときはその詳細を就業規則に明記する必要があります。また、このような【既得権を侵害する変更】は労働基準法の法の原則である「不利益変更」に当たります。
不利益変更自体は認められないものではないですが、【変更の必要性】の吟味や【労働組合との交渉協議】など実際に行われたのでしょうか?
またそれにも増して残念なのが、このように従業員に負担を大きくするような変更を会社が考えたという事実です。当社は優良な企業であり社会においても注目されている企業です。利益も出ています。そういう企業が従業員の福利厚生を低下させるようなことをやっていいのでしょうか?私は逆だと思います。無駄なコストは削減すべきですが従業員には投資すべきです。特に当社のように「人」でもっているような会社にとっては従業員は宝です。従業員の士気を低下させるような方針は好ましくないと考えますがいかがなものでしょうか?
以上のような事情を検討し、従前の管理方法に戻されることを強く希望いたします。この件に関しての回答は書面でお願いします。
 
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ポイント:
労働条件として「最初から自分で洗濯するとある」ならいい。問題なのは、今まで会社負担であったものが個人負担に「変更」された点について異議を申したてるもの。