[040]個人で闘う

2012年10月12日

 

リストラや雇用の打ち切りに対してどのように対処するかは難しい問題です。きちんとした労働組合があればいいですが、最近では派遣やパートなど組合に加入していない人が増えており、問題が起こっても事実上泣き寝入りになるケースが多くなっています。
 
労働省の報告によれば、各地の監督署(労働局)に持ち込まれた個別労使紛争は、昨年10月~今年3月の半年間で1万6466件。昨年と比べても2倍以上増えています。
 
労働条件に納得できない気の強い人は、監督署(労働局)や労政事務所に相談するわけですが、現行法では思うようにいかなかったりします。例えば個人で紛争処理を望んでも、現状では
 
(1)監督署(労働局)は違法行為の取り締まりが中心
(2)都道府県の労政事務所は相談・あっせんにとどまる
(3)裁判は資金も時間もかかる
(4)地労委は裁判より手軽な調停や仲裁機能を持つが、労組と企業の集団紛争のみ扱う権限しか与えられていない
 
このような現状を改善する為に、都道府県の地方労働委員会(地労委)に対しては、【労組だけでなく個人の個別紛争の調停や仲裁も担える権限を持たせる】ような制度改革案を、地労委の全国組織である全国労働委員会連絡協議会が自らまとめています。
 
また、このような動きとは別に、個別紛争の処理制度として、労働省が都道府県労働局を使う案を検討しています。
 
地労委が救世主となるか労働局が救世主となるかはまだわかりませんが、素早く動いて確実に対処ができる機関の登場が切に望まれます。
 
実際、監督署に色々聞いてみても最近回答の歯切れが悪いです。結局、会社の経営が成り立たないという切り札を持ってすれば、会社の言い分は大体通ってしまう。したがって労組もいいなりです。逆に個人の方が訴える力は強くなるかもしれませんね、これからは。