[057]社会保険

2012年10月12日

 

募集広告を見ますとよく「社保完」と書いてあることがあります。これは「当社は従業員のため社会保険を完備しています」という意味で使われています。では社会保険が完備していない会社というのはあるのでしょうか、というと今ではほとんど無いんですね。全く無いわけではありませんが極めて稀です。
 
社会保険非適用となる業種は、農林水産業、理容、美容業、飲食店等のサービス業、弁護士、社会保険労務士などの専門サービス業でしかも個人に限られます。法人の場合はすべて適用になります。適用になると加入は義務付けられます。つまり加入非加入は選べません。
 
ではどういうものが社会保険といわれるのでしょうか?通常は社会保険というのは、健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4つをいいます。健康保険と厚生年金は厚生省の管轄、雇用保険と労災保険は労働省の管轄になります。
 
社員になりますと健康保険と厚生年金は強制加入です。それまで国民年金や国民健康保険に加入していた人は会社の健康保険・厚生年金に切り替えます。これは保険料の半額を会社が負担してくれますので喜ぶべきことであり、国保より当然負担が少なくなり有利です。
 
雇用保険は失業した時にもらえる失業給付のための保険です。事業所としては雇用保険も強制加入であり、労働者の不意の失業に対し保証をする性格のものであるといえます。ただし労働者負担分の保険料があります。つまり、労働者も保険料を払わねばなりません。
 
労災保険というのは、労働中に起きた怪我や病気に対して支払われる保険です。これも従業員がいる事業所では強制加入になります。従業員が加入するのではなく事業所が加入します。保険料も事業所が払います。労働者負担分の保険料はありません。
 
仕事中に起きた怪我を健康保険で治療すると詐欺になりますので注意してください。仕事中の怪我は労災保険で治療しなければなりません。ところが、労災保険というのは大変審査が厳しく、従業員が怪我をして労災保険を使うと「なぜそういう事故がおきたか?」ろきびしく追求され、今後そのような事故がおきないように対処させられます。
 
そのため事業主はなるべくなら労災保険を使いたくないという心理が働きます。なかには労災にせず健康保険を使ってくれとか、社長のポケットマネーで治療させられる場合がありますが、後遺症などが残った場合はあとで必ず問題となりますので、そのような業務命令があった場合でも、仕事中の怪我は必ず労災を使うように要求しましょう。
 
またよくある誤解に、労災だと休業中の給料が保証され、健康保険では保証されないといわれることがありますが、そんなことはありません。労災でも健康保険でも、休業中は60%まで給付があります。この場合も、よく事業主が給料は出ないと一言で片付けられる場合がありますが、給付は会社が払うのではなく所轄機関が払います。したがって会社の懐は傷まないのです。にもかかわらず給付は無いと言い切る会社は給付分を着服している可能性があります。
 
気をつけましょうね。