[083]年休あれこれ(13)罰則

2012年10月14日

 

【罰則】
 
年次有給休暇(以下、年休)を労働者にとらせないと使用者には厳しい罰則が待っています。これは刑事事件なので簡単ではありません。悪質な経営者には逮捕状が出ます。
 
労働基準法第39条に違反するものは6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する(労基法119条)
 
労基法第39条第1項は「使用者は・・有給休暇を与えなければならない」と規定していますが、その解釈は以下のようなものです。
 
「休暇の付与義務者である使用者に要求されるのは、労働者が権利として有する有給休暇を享受することを妨げてはならないという不作意を基本的内容とする義務にほかならない。」(S48・3・2最高裁第二小法廷)
 
従って、労働者の請求する時季に所定の有給休暇を「与えない」と違反になります。
 
  • 正当な事由がないのに時季変更を求めた場合
  • 労働者が年休指定した日に出勤を命じた場合
  • 年休取得に係る日の賃金を減額して支給した場合
これらも職場ではありがちな事例ですが、いずれも違反行為となります。
 
なお、違反行為については所定の未払い金のほか、裁判所は付加金の支払を命ずることができます。これはいわば損害賠償・慰謝料のようなもので、未払金と同額を請求できます。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内にしなければなりません。(労基法第114条)