[092]産休あれこれ(4)年休への振替は不可

【年休への振替は不可】

産前産後休暇(以下、産休)中の賃金は無給であることが多いので、これを年次有給休暇(以下、年休)に振替えてほしいという要望が当然のようにあります。しかし、産休となっている期間は既に労働義務が免除されているため、それを年休に振替えることはできません。

年休は、賃金の減額を伴わずに労働者の労働の義務と免除しようとするものですから、年休の対象となる日は、労働義務の課せられた日でなければならないからです。

産前休業については、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合には就業させることはできませんが、産前休暇に入った時点で労働義務は免除されているわけですから、年休を請求する余地も無いですし、会社側としても年休を認める法的義務はありません。

ですが、産前休暇は本人の請求があって成立しますので、本人が産前休暇を請求していない時は、労働義務が継続して生じていますから、その期間について年休を請求することはできます。

産後休業の場合、産後8週間を経過するまでの間は、原則として、会社は従業員に就業させることができないこととされています。したがって、産後休業の期間中は、労働義務は最初から無いとされますので、従業員は年休を請求できません。

ただし、例外として6週間を経過した後に従業員が請求してきた場合、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができます。産後6週間を過ぎ、本人が就業を請求し、医師が認めた場合は労働義務が生じますので、その期間については年休を請求することができます。

つまり、年休が使えるかどうかは、その日に労働義務があるかどうかにかかっているわけです。