[110]残業あれこれ(9)時間外手当を支払わなくてよい場合

労働基準法第41条は

「この章(第4章:労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇)、第六章(年少者)及び第六章の二(女性)で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない」

と定め、

「別表第一第6号(林業を除く)又は第7号に掲げる事業に従事する者」

を適用除外対象事業としています。

ここで指定する業種「土地の耕作若しくは開墾の事業」「動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業」とはつまり農業や漁業のことをいっているわけです。これらの業務に従事する労働者については労働基準法の労働時間、休憩、休日の規定の適用が除外されます。

農業や漁業などは天候、気象等の自然的条件の影響を著しく受けることが予想されるため、通常の時間管理による賃金体制がそぐわないという理由からこのような措置になっています。

農業や漁業を主な業種とする会社の場合、事業所ごとに適用を吟味しますので事務所や事業所が別の場所にあったりした場合は、その事業所での職種が適用されるかどうかを吟味する必要があります。

その事業所が事務部門であった場合などは、農業や漁業を営む会社であってもその中で働く人は労働基準法が適用され、時間外手当を支払う必要があります。

また農業の施設内にある食堂や事務所で働いている人も適用除外になるのかというと、これは同じ事業所内とはいえ、別部門とみなされますのでこの場合も労働基準法が適用され、時間外手当を支払う必要があります。