[118]退職金あれこれ(-3-)恩恵的退職金

【恩恵的退職金】

退職金制度を導入しない場合でも、退職金を支給する場合はもちろんあります。この場合は制度化していないので、使用者の気分次第で退職金を支払います。

がんばって功績を残した人にはたくさん支払う。そうでない人はスズメの涙程度、もしくは支払わない。退職金が本来恩恵的な性格のものであれば、これが本来の姿のような気がします。

しかし世の中には儲け主義に走り、会社が利益を上げているのに退職金を支払わないケシカラン使用者もいます。退職金制度はそういう横暴な使用者に対抗するためにできてきた、といえます。

退職金が制度化されている場合は、たとえ使用者の気に入らない社員であっても制度のとおり支払わねばなりませんから、色々な意味でこれからの企業は退職金の制度化には十分に吟味されなければなりません。

退職金制度があって規定に基づいて退職金が支払われている場合には、就業規則や退職金規程等で約束された金額の全額を支払わなければなりません。たとえ社長が気に入らなくても、です。

なぜなら就業規則や退職金規程などで支給条件や支給額算出方法等が定められた退職金は、労働基準法上の「賃金」とみなされるからです。「賃金」である以上「全額払いの原則」が適用されますので、特別な理由無しに退職金を減額したり不支給とすることはできません。減額するにはその事由等についてあらかじめ就業規則や退職金規程等に定めておかなければならないのです。

これからは社長といえども契約社員である場合が多くなってきます。当然退職金などありません。つまり退職金自体はすでに過去のものになりつつある現状を考えると、まだ退職金をもらえる環境にいる人は早くもらっておいたほうが良いといえるかもしれませんね。