[138]安全配慮義務

経営者というのは大変です。以前のように儲かっている時は労働者からいろいろな要求があってもまぁ飲めないこともありません。しかしこの不景気で会社自体の存続も危ういのに労働者の要求など聞けるか、というのが本音だと思います。

しかしながら、会社というのは「法人」というくらいで、法的に人格があるものと認められています。従ってそこはやはり「人」として「法」を守らなければなりません。労働に関して言えば、労働安全衛生法という法律があり、それにより会社は職場の安全や労働者の健康に配慮する義務があります。社会的に認められた「法人」としてはやはりそこで働く労働者を守る社会的責任があるということです。

仕事が原因で労働者が病気になったり、ケガをすることを防ぐためにある法律が労働安全衛生法です。会社の「労働者の安全に配慮する義務」がこの法律で定められています。

【労働災害を防止するために会社がやるべきこと】

1)安全衛生管理組織の確立
職場の規模に応じて、安全管理者、衛生管理者、産業医などを設置する

2)労働者の危険や健康障害を防止するための措置を講ずる
作業場に危険な箇所がないか、作業方法に危険はないか、事故が起きたときの救護施設は万全かどうかなどを吟味する

3)機械の検査や有害物の規制
作業機械の定期メンテナンスや有害物を扱う場合はその使用限度や作業衣などの不備がないかどうかを吟味する

4)労働者に対する安全への指導
重機や機械を扱う場合は免許保持者や有資格者を就業させる

5)健康保持への措置
定期健康診断の実施や、作業場の環境測定就業時間などのチェックを行なう

6)快適な職場環境の形成
トイレの場所や休憩所などを適切に設備する

特に健康診断は年1回の検診を行なうよう会社には義務づけられています。また特定化学物質や有機溶剤を扱う職場では6ヶ月に一回の検診となります。これは労働者側にも受ける義務があります。嫌だからといって受けないと会社から制裁を受けることがありますので注意してください。

なお、検診の結果労働者の健康が損なわれていることが判明した場合は、就業場所や業務内容の変更、就業時間の短縮などの措置を講じなければなりません。

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