[177]SA8000

SA8000とは(Social Accountability=会社説明責任8000)の略で、1997年に基本的な労働者の人権の保護を定めた国際的な規格です。

SA8000は、下記の9つのテーマを取り上げ取り組んでいます。

1.児童労働の撤廃
2.強制労働の撤廃
3.労働者の健康と安全
4.結社の自由と団体交渉の権利
5.差別の撤廃
6.肉体的な懲罰等の撤廃
7.労働時間の管理
8.基本的な生活を満たす報酬
9.マネジメントシステム

SA8000は国際規格ですから、企業として取り組み、規格を満たすことで認証を受けることができます。SA8000認証を受けた企業は労働問題に真剣に取り組んでいる証となりますので、就職や転職時の選別の判断や、取引をする際にも判断材料になるでしょう。さらに、企業のコンプライアンス(法的遵守)が叫ばれていますが、一番の身近なコンプライアンスが労働法の遵守ですから、SA8000を所得していれば、企業のコンプライアンスも大丈夫だろうという判断にもなります。

制定の背景には、多国籍企業の発展途上国における工場の運営にありました。有名なナイキでは、工場での労働条件が悪く、低賃金労働や児童労働など過酷な労働環境が多くの抗議が寄せられ、不買運動が行なわれました。その後、フィルナイト会長が自ら改革をおこない、最近の労働環境の格付けではナイキは「A」の評価を得るまでになっています。

SA8000は生産活動をする企業に照準を合わせて制定されています。生産活動をする企業は、認定された認証機関の監査を受けることにより、事業所毎にSA8000の認証を取得することができます。監査は労働規範の遵守を確保するために、事業所における教育・研修がされているか、そしてそれを行うに必要なマネジメントシステムが導入されているか、に重点が置かれています。諸外国では国籍の異なる方々を多く採用しなければならない工場などで構築・運用が行われている規格なのです。

国内小売業では2004年11月8日、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」のサプライヤー管理とイオン株式会社の本社業務において国内初のSA8000認証を取得しました。国内ではまだまだの労働環境ですがSA8000取得は「企業評価の新しいモノサシ」として今後の労働環境改善に役立つことは間違いの無いところでしょう。