[178]読者Q&A『天引きされた旅行積立金は返してもらえるのか?』

■読者からの質問

さて、質問なのですが、主人がアルバイトを辞める予定なのですが(中小企業で週5日、1年と半年勤めています)、毎月「旅行費」として3000円徴収されています。このお金は退職時戻ってくるのでしょうか?また返してもらえるよう請求できるのでしょうか?ちなみに主人は旅行は1回も参加していません。 ご回答よろしくお願いいたします。

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

給料から旅行積立金を徴収されているが、これは返してもらえるのか?という質問です。この旅行とは労働者全員参加の社員旅行のことであると仮定します。またその旅行費は給料から天引きされているものとしてお答えいたします。

旅行費が給料から天引きされている場合はその旨を労使協定で取り決めている必要があります。勝手に天引きはできません。もし労使協定の締結なしに給料から旅行積立金を天引きしているならば、それは違法となります。労使協定は事業場の労働者の過半数を代表する者との間で締結するものです。

賃金の支払いには「全額支払の原則」というのがあり、まず全額を労働者に支払い、その上で徴収しなければなりません。ただし法令で決められている社会保険料や源泉税、住民税などは天引きしてよいことになっています。

で、お尋ねの旅行費ですが、これが旅行積立金であり、それを使っていないならば当然返却を受けることができます。ただし、これが旅行積立金でなく「会費」的な趣旨である場合は返却されないかもしれません。また全員参加でない有志で徴収する旅行費の場合は当事者同士で決めることです。返却せず繰越金に編入することもありえると思います。

いずれにしても、そういった旅行費などの徴収については何らかの規程が明示されていると思いますので勤務先の総務や労務管理者に確認してください。おそらく労使協定に記載されていると思います。もし記述が無い場合は、徴収自体に応じる必要もないといえます。

労働基準法第24条

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は命令で定める賃金について確実な支払の方法で命令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

2005/05/19(原文)
2006/06/27(加筆)
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