[186]読者Q&A『会社では必ず新姓を名乗らなければならないのか?』

■読者からの質問

結婚後、仕事を継続しているのですが、新姓に必ず変えなければいけないのでしょうか。法的にそういう決まりはあるのでしょうか。

私の新姓は、漢字も難しく外字検索しなければ出てきません。読むのも難しいですし、今までのお客様には旧姓で覚えて頂いているので、そのまま旧姓で仕事を続けたいと思っています。

現在、社内の既婚者の女性は、新姓に変えている人もいますが、大半が旧姓で仕事をしています。私は、どちらを使うかは、個人の自由だと思っているのですが、会社としては、会社の方針だといいます。近々、新姓を名乗らなければいけないという規程をつくることも検討しているようです。

そんなことは、会社が決めれることなのでしょうか。

結婚後、約一年ほど経過しますが、今までも仕事上は旧姓を名乗ってきました。ここにきて、いきなり新姓に変えろといわれても、タイミング的にもおかしいですし、新姓で仕事をしている女性は、世の中にもたくさんいるかと思います。

■たまごやの回答

お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。

まず、日本の法律では、結婚した場合は夫もしくは妻のどちらかの姓を名乗らなければならないことになっています。(民法750条の夫婦同氏の原則)
※厳密には姓と氏は別物ですがその論議はまた別の機会で。

したがって会社の法的書類となる健康保険証や給与関係の書類は戸籍上の氏名を使うことになります。この場合は新姓ですね。

会社内で別姓を使う場合は、業務上の呼び名や名刺の表記になると思いますが、これは会社が認めれば当然使えます。

ただし、会社というのは、労働者の福利厚生上の法的事務を代行する場合が多く、その場合に戸籍上の氏名と通常使う氏名が違っていると支障をきたすことが多いのも事実です。コミュニケーションや通達を徹底して事務手続き上の間違いはを減らしたとしても、そのコスト増は免れません。

そういう理由から、会社としては戸籍上の氏名を使うようになる流れも理にかなったものとなります。会社は労働の場であり、その場にかなったルールは就業規則としても認められるのです。

もちろん、会社の外で、どのような姓を名乗ろうとそれは自由です。しかし、会社という場で働く場合は、会社の方針という物が優先されるのは仕方のないことなのです。

お尋ねの趣旨からすると甚だ不本意に思われるかもしれませんが、これは現法律上では致し方ないこととなります。

この根源は日本の法律が別姓を認めていないことが原因なので、これを是正する方向に向かうことが一番だと思います。世界的に見ても夫婦同氏を名乗る国というのは少ないといわれ、日本でも最近は夫婦別姓を認める世論が高まっています。法律が改正され、別姓を認めるようになれば、今度は会社がそれを認めない筋はありません。

2005/11/15(原文)
2006/06/27(加筆)