[201]免職と解雇

最近、公務員による事件・事故が多く報道されています。もちろん事件や事故を起こした責任は重いのですが、それを「公務員なのにけしからん」とか「国民のために働く公僕なのに」みたいな発言が多いのが気になります。公務員は国民のために働くのが使命ですが国民の奴隷ではありません。また公僕というならばそれは職務上のことであってプライベート時間まで縛られるものではありません。

公務員とて普通の人間ですから、タバコも吸いますしエロ雑誌も読むでしょう。やむなく事故を起こすことだってあります。しかしその行動の責任は社会人としてであって、なんでもかんでもすぐに公務員・公僕と結びつけるのは短絡だと思うのですが、いかがでしょうか?

さて、今日はその公務員にかかわる話です。

公務員の使い込みや贈収賄などの事件があると、よく懲戒免職ということばが出てきます。同じような意味の言葉としては懲戒解雇があります。この違いですが、公務員が職を解かれるときには免職、民間企業で職を解かれるときは解雇となります。免職には分限免職と諭旨免職、そして懲戒免職がありますが、職務に関するあ処分の中では最も重い処分とされています。

分限免職とはあまり聞きませんが、業績悪化などによって行う人員の整理削減や、事故や災害による被雇用者の死亡、病気等による職務への従事不能になった場合に行われる免職です。被雇用者に対する「身(分)保障の(限)界」という意味があるため「分限」免職といいます。職務効率の維持を目的として行われるため懲罰的な意味はありません。退職金は支給されます。

諭旨免職は雇用側からの「やめてもらったほうがいいな」的強制でありながら、被雇用者が自発的に退職するように促す場合を指します。結果的に自主退職となります。退職金は支給されます。

懲戒免職は職場内の綱紀粛正及び規律・秩序の維持を目的とする懲罰の意味を込めた免職で一番厳しいものです。当然退職金は支給されません。

免職になる理由として最近多いのが不祥事、信用失墜行為や職員にあるまじき非行・職務に対する不適格などがあげられます。しかし、職務に付随する行為が不祥事の場合は当然処罰の対象になりますが、個人的に行っていることを原因として免職にする場合は注意を要します。

たとえば、貸し金トラブルに巻き込まれてやむなく借金地獄に陥っている場合。これなどはむしろ救済してあげなければなりません。また個人的に合法的なアダルトサイトを運営しているような場合。これなども感情論で免職にしたりする場合がないとも限りません。またアメリカなどでな起こりそうな、喫煙を理由の免職。これも個人的な領域の問題です。

とかく、会社や組織は不祥事があると組織ぐるみで「申し訳ありません」とコメントしたりしますが、不祥事の原因が個人にある場合は、組織は関係ないわけですから、個人の責任に帰せばよいと思うのですが、どうの日本では子分の不祥事は親方の責任という仁義があるようです。

関連リンク:
懲戒(1)
警察手帳