[79]交際費(4)通達による交際費

2013年6月9日

法律による交際費は「冗費・濫費である」という意義になりますが、といってもこれは実際にはその判断が難しいものです。基準となるものが「社会通念上」とか「では通常要する費用とはなにか?」などで、厳密に判断するにはそのつど裁判を起こさなければならなくなってしまいます。それでは円滑な業務ができません。そこで、通達では具体的に交際費になるもの、ならないものを挙げて、取り扱いの統一を図っています。

・金銭または事業用資産の贈与

得意先に対し、事業用に使用される資産を贈与した場合は、交際費になりません。たとえば、営業用に使う土地や建物、機械設備などを贈与した場合等です。この場合は交際費とはならず、経費として処理されますが、効果が一年以上にわたる資産を贈与した場合は繰り延べ資産になります。また、販売促進や奨励の意味合いで得意先に渡す現金も交際費になりません。

・得意先の役員や社人に対する贈与

一方で、得意先の役員に手渡す贈与いわゆるリベートは、その算定基準の有無に関わらず、個人的な歓心を買うための支出とみなされ、典型的な交際費となります。ただし、特約店のセールスマンに支払う報奨金は交際費にならないという例外もあります。

・旅行・観劇への招待

得意先への旅行や観劇の招待は、参加するのは個人であり、その個人の歓心を買うという性質からこれらはすべて交際費となります。
ただし、不特定多数の者を招待する場合は、事業と関係がありませんから、これは交際費にはなりません。たとえば不特定多数の消費者を抽選で招待するような場合は広告宣伝費となります。