[91]使途秘匿金と使途不明金

似ていて非なるもの。それが使途秘匿金と使途不明金です。
【使途秘匿金とは?】
法人税の申告期限までに「支出先の住所、氏名およびその支出の事由を帳簿書類に記載していない支出」をいいます。
使途秘匿ですから、本当はわかっていてもあえて記載しないという場合も含まれます。また、金銭のみならず、贈与・供与など金銭以外の資産の引渡しも含みます。とまり理由のはっきりしない貸付金・仮払金・固定資産など資産計上されたものも含まれます。
ただし、資産の譲受けなどの対価として支出されたものや取引の対価として相当であると認められたものは除かれます。
【使途不明金とは?】
「法人が支出した金銭でその使途が明らかでないもの」をいいます。不明金ですから、使途がわかっていないものが本来の性格となりますが、わかっていてもあえて不明とする場合も含まれます。また使途不明金は金銭に限っており、物品は含まれないのが特長です。
使途不明金で多いのが交際費・機密費・接待費等ですが、これらのうち費途が明らかでないものは損金算入できません。
また、役員に対して機密費・接待費・交際費・旅費等として支給した金銭で額で、その費途が不明であるもや、法人の業務に関係がないと認められるものは、役員に対する給与とされます。その給与も適正額の範囲内であれば損金算入ですが、それ以外の場合は賞与となります。役員賞与は損金不算入です。
【使途秘匿金と使途不明金との違い】
使途秘匿金は、金銭の支出以外もある。
使途不明金は金銭に限られる。
使途不明金は損金不算入。
使途秘匿金であってそれが同時に使途不明金である場合は損金不算入。
使途秘匿金であるだけで損金不算入ということにはならない。
使途不明金であっても、その相手先が解明されればその時点で使途不明金でなくなり損金として認められる。
申告期限後に相手先が解明されたときは、使途不明金は解消されるが、使途秘匿金は課税されたままである。
その場合の課税金はすでに使途不明金ではなく、したがって使途不明金の損金不算入に該当しないので、損金として認められるべき性質のものであるといえます。
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