[94]読者Q&A『架空領収書の発行を強いられた』

2013年6月3日

◆読者からの質問
私は父が経営している個人事業で営業をしております。あるお得意先から「6万円の領収書をくれないか?(実際にはお金は頂いていませんし、頂く予定もありません)」と言われました。得意先なだけに断りにくく現在困っています。
もし渡したとしても印紙は当然貼ることは断ることが出来るのですが、この様な場合は当社としては実際に売り上げのない領収書を渡しても法には触れないのでしょうか?
ちなみに領収書を発行した証明となる領収書の控えは、何年かは保管しておく必要があるのでしょうか?
◆たまごやの回答
お便りありがとうございます。例によってアバウトに答えさせていただきます。
行動を起こす時には関係省庁の窓口にてご確認ください。
お尋ねの件ですが、架空の領収書の場合、他人名義の場合は私文書偽造になりますが、自分発場合は領収書を発行しても直接の罪にはならないと思います。
ただし、領収書を発行するということは、その金額を受け取った証ですから、その金額に値する所得があったことになります。ということはそれを計上しなければ、所得隠しになり、税金を支払わなければ脱税になります。この時点で違法行為が確定します。
領収書は税務署が課税の根拠となる大事な証票ですから、領収書があってその金額が所得計上されていなければ、とことん追求してきます。逃れることはできません。
そして、この領収書が架空であることが発覚すれば、渡した得意先にも調査の手が伸びます。実際に払っていない金額が領収書としてあれば、経費の水増しとなりこれも所得隠しとして脱税ということになります。したがってこのような領収書は発行しないに越したことはありません。先方にもリスクを説明し、お断りするのが妥当です。
どうしても、発行しなければならない場合は、その金額を受け取っていなくても所得として正規計上することです。そしてその分の税金を納めることです。そうすれば表立って違法行為となることはありませんが、そのまま決算を迎えれば粉飾決算となりますので、あなたがポケットマネー等で穴埋めをするしかありません。
なお、申告に使用する帳簿や書類(帳票類、領収書含む)は税法により保存期間は「7年」と定められています。また商法では、商業帳簿や営業上の重要書類の保存期間は「10年」と義務づけています。
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