[96]住民税大幅アップ

今月から住民税の税率が変わっています。届いた住民税の明細を見て驚いたかたも多いのではないでしょうか。私も思わずのけぞりました!金額がどーんと跳ね上がっていたからです。
この増税は年収にもよるのですが、年収400万円から600万円の普通の家庭の場合、今の5割から6割増しに跳ね上がります。年収300万円の独身の場合も今の6割以上高くなります。もはや「独身貴族」などと言ってられません。
なぜこんなことが起こったのかというと、原因は二つあり、小泉さんが提唱した三位一体改革による「税源移譲」と「定率減税」の全廃が重なったからです。
税源委譲というのは、今まで国庫に入っていた所得税(国税)を、住民税(地方税=市民税、県民税など)とすることで、国庫ではなく地方に入るようにしたということです。
所得税は皆さんが会社から源泉徴収されている税金です。この行き先は国です。そして同じく源泉徴収されている住民税。これが地方税です。今回の税源委譲で、所得税が減り、住民税は増えた、となるのです。
今回の税源委譲については不公平感がなくなるように税率も細かく決めなおし、所得税は10%、20%、30%、37%という4段階から、5%から40%までの6段階に変更されました。所得に応じて5%、10%、13%の3段階だった住民税は一律10%になっています。つまり、住民税が増えた分、所得税が減り、差し引きゼロかというわけです(政府の説明では)。
しかし実際は以前と同じではありません。定率減税が全廃になったからです。
定率減税とは、かの小渕恵三総理が1999年に導入を決めた優遇措置です。これは庶民のため減税であり、所得税の20%(上限25万円)、住民税の15%(上限4万円)を恒久的に払わなくてもよいとするものでした。ところがこの定率減税は2006年には半分廃止され、2007年には全廃となりました。
じつは今年の1月から所得税は減っているのです。給与明細をみると確かに減っている。税率でいえば今まで10%だったものが5%になったからです。しかしこれに気がついている人は少ないと思います。定率減税が全廃になったため実質増税になり、所得税率の下がりが実感できないというのが現実です。
この増税はすでに決まった事なので、実際払うしかないのですが、政府関係の不祥事が多い昨今、なにとぞこの国民の血税、清く使ってほしいと願ってやみません。
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