[101]役員給与の損金不算入

損金とは、収入(売上)を得るに必要なコストの部分で、通常は収入(売上)から損金を引いた部分が課税所得となります。損金として認められれば、所得は減りますから払う税金は少なくて済みます。
しかし損金と認められない場合は、収益から控除できませんから収益に直接課税されることとなります。したがって、かかった費用が損金になるかならないかは大きなポイントとなります。
役員の給与は原則は損金になります。しかし役員だからといって不相応に高額な場合は損金に算入できません。損金になるかならないかを判断するために基準を設けます。
**形式基準**
あらかじめ株主総会などで役員給与として支給する金額の限度額を決めておく方法です。限度額が決まっていればそれに対応して多いか少ないかを客観的に判断できます。これを超えた部分は過大役員給与とされます。
支払い限度額は株主総会で決議しますが、実際の支給額よりも多い支給限度額を決めておくのが普通です。
というのは役員給与には無利息貸付などの経済的利益が税務署で認定されることがあり、限度額ぎりぎりにしておくと、その認定額がオーバーとなり損金不算入とされる場合があるからです。
なお、形式基準には「使用人兼務役員の使用人部分の給与を含めない」などのルールを盛り込むことができます。
**実質基準**
「その役員の職務に対する対価として相当と認められる額を超える金額」が過大給与とされ、損金不算入となる場合です。税務署が判断する基準で、その役員の「職務の内容」「法人の収益」「使用人への支払状況」「類似する同業他社の役員給与」等を照らして判断されます。
実質判断基準といっても役員の給与をいくらにするかは基本的に自由であり、法的に問題なければ、同業他社と同じにする必要はありません。そしてその給与が企業利益に貢献していれば、当然損金として認められるものです。この基準による判断は問題が多いと指摘されるゆえんです。
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