tax[130]印紙税(領収書)

2013年5月28日

領収書や手形、契約書などにはその文書の証明に対して印紙を貼らなくてはなりません。

印紙を貼らないとどうなるかというと、証明の事実はなくなりませんが、脱税になります。印紙は契約の証明に関する文書に課税されるからです。つまり領収書に印紙を貼らなくても、その金額を領収したという契約は否定されませんが、その文書に関して課税される印紙税を脱したことになるのです。

さて、その領収書に貼る印紙ですが、受け取った金額の何%という具合に比例されているのではなく、段階的に決められています。ということは、領収書を分割して1枚あたりの領収書の記載金額を少なくすれば実質的に節税できます。

たとえば1,100万円の金額の領収書はそのままですと4,000円の印紙を貼らなければなりません。しかし、これを1,000万円と100万円に分ければ、印紙代はそれぞれ2,000円と200円になり、合計しても2,200円。最初に比べると1,800円の節税になります。

さらに極論すれば3万円未満の場合は非課税ですので、20万円の取引を10回に分けて1回あたり2万円とすれば、印紙はまったく貼らなくてすみます。ただし領収書の用紙が10枚要りますが。

これは金額が大きくなるほど効果がありますので、分割しても差し支えないような取引は印紙税額表とにらめっこして一番いい方法を採るといいでしょう。

ただし、10億円を超えると印紙税は一律20万円ですが、仮に12億円の取引を10回に分けても1回あたり4万円の印紙税がかかりますので10回で40万円になってしまい、これではちっとも節税になりませんね。

印紙税をびた一文払いたくないという人は、非課税限度額を憶えておくといいでしょう。

(非課税限度額)
領収書:3万円未満
約束手形、為替手形:10万円未満
請負契約書:1万円未満

なお、飲食店でもらう「白紙の領収書」は印紙税的には合法です。ただし、受取金額の記載の無い領収書には200円の印紙を貼ることになっています。そして、あとで金額を書き加えた場合はその金額に見合う印紙を追加して貼らなければなりません。領収書に貼る印紙代はお金を受け取る方が払う慣例になっていますが、これは当事者のどちらが負担しても構わないものなのです。

一方で白紙の領収書に後で数字を書き入れる行為は私文書偽造になります。私文書とはその権限が無い人が勝手に内容を変更すること。したがって発行者でない人が金額を書き込むとその時点で私文書偽造になるわけです。さらにその偽造領収書を会社に提出した場合は、会社を騙したことになり、詐欺罪に問われます。気をつけましょう。

こういった法律の矛盾は結構あって、よくあるのが違法建築であっても固定資産税が課せられる例。日本の縦割りお役所仕事が浮き彫りになる好例です。

【第79号加筆修正版】

2002.09.24