tax[164]エンジェル税制

2013年5月28日

投資家がベンチャー企業に対する投資を促進するための税制上の措置がエンジェル税制です。エンジェル税制は平成9年の税制改正で新たに制定されました。このエンジェル税制では投資家にとっての「株式譲渡損の繰越」と「株式譲渡益の圧縮」が大きな特徴となります。

投資家が投資したベンチャー企業がまだ順調な業績を上げていないときには、その株式についての価値が変動しやすいため、投資家にはリスクが生じてしまいます。リスクが大きければ投資家は遠慮してしまうでしょう。そのリスクを税制によって軽減し、創業間もないベンチャー企業を育成するというのがエンジェル税制の大きな役目となっています。ちなみにベンチャー企業に投資する投資家を「エンジェル」といいます。

エンジェル税制を受けるのは、そのベンチャー企業が税制の要件を満たしていなければなりません。ベンチャー企業は税法では「特定中小会社」と定義され、エンジェル税制を受けるには以下の要件をあげています。

  • 未登録、未上場であること
  • 一定の大規模法人の所有に属する会社でないこと
  • 外部からの投資を投資時点で6分の1以上受けていること
  • 設立以後10年を経過していないこと
  • 試験研究費の売上高に占める割合が設立5年以内の場合は3%超、設立5年超10年以内の場合は5%超であること
  • 株式会社の中小企業者であること
  • 風俗営業を行なうものでないこと

加えて平成16年(2004年)に以下の項目が追加になりました。

内国法人のうち設立以後10年を経過していない中小企業者該当する株式会社で、

  • 投資事業組合契約に従って中小企業等投資事業有限責任組合を通じて投資される等、一定の要件を満たすもの
  • 証券業協会がその定める規則に従って子弟をした銘柄(グリーンシートエマージング区分)の株式を発行する等、一定の要件を満たすもの

これらの要件を満たすベンチャー企業の株式に関して、上場前に譲渡等による損失が生じた場合は、翌年以後3年間(当年を含めれば4年)に渡って繰越控除できます。

また、譲渡益に関しての計算では、譲渡所得の課税の特例の要件とされている譲渡期間を「取得日から3年超」、「上場日から3年以内」とすることで、譲渡益の課税軽減の特例を受けることができます。

2004.12.05