tax[031]生前贈与

2013年6月6日

相続税は遺産が多いほど累進課税によって多くの税金が課せされます。したがって相続税を減らすには、遺産を減らすということが必要になってきます。当たり前ですが。

遺産を減らすといっても全部の財産を使ってしまうわけにはいきません。そこで考えられるの生前贈与です。いずれは家族のものになる遺産を、まだ生きているうちに分け与える方法です。しかし、前にも言いましたが、税率自体は贈与税のほうが相続税より高いです。したがって無計画な贈与は全く節税になりません。それどころか多く税金を払うことにもなりかねません。生前贈与は計画的に行うことが必要です。

【贈与税には60万円の基礎控除がある】

これをうまく利用します。例えば三人の子供に毎年60万円づつ10年間贈与しますと180万円x10年で1800万円の財産が相続税の対象から外れます。

また、毎年60万円を超えて贈与しても150万円(基礎控除後)までは税率が10%ですから、税金を払ったとしても安く済みます。

しかし、贈与はその事実確認が結構厳しいですから、贈与したと思ってもそれが相続の時に否認され相続税を払う羽目になることもあります。贈与は贈与したという確たる証拠を残しておかなくてはなりません。

60万円の贈与は申告しなくてもよいので軽く考え、記録を残さなかったりすると、あとでそれを立証することができません。ならばいっそ100万円の贈与をして基礎控除後の40万円に対する贈与税4万円を払っておけば確実に贈与として認められます。実際に贈与税を払ったのですから。

生前贈与する時は贈与の事実を客観的に残しておく必要があります。

・預金は使用する印鑑を必ず別にする。
・60万円を超えたら必ず申告する。
・贈与の時期があとから見てもわかるようにしておく。

尚、贈与税は贈与された人が払うべき税金です。この分も予算に入れておく必要があります。

次回は、同じ財産でも形を変えておくことで評価が下がり、結果的に税金が安くなるというワザをお伝授いたします。

2000.6.22

修正事項
平成13年度税制改正で平成13年1月1日以降の贈与について贈与税の基礎控除額が60万円から110万円に引き上げられました。基礎控除額が引き上げられたのは昭和50年から実に25年ぶりのことです。
2002.02.05
2004.10.12