tax[016]住宅売却損の繰越

2013年6月2日

バブルの崩壊により、一時ほどではないにせよ、地価が値下がりしています。そのような時に不動産を売ると売却損が出ます。大都市などではその売却損が年収を上回るようなことも珍しくありません。

売却損の繰越は青色申告者以外は認められませんが、以下の条件をすべてクリアする場合は、青色申告をしていなくても3年間に渡って繰り越すことができます。条件が厳しいのでなかなか該当しないとは思いますが、条件に当てはまりそうな人は検討する余地があります。

平成10年1月1日から平成12年12月31日までの間に売却したものであること
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以上の居住用財産であり、売却損が実際に生じており、かつ、売却先が親族等でないこと。
売却した年の1月1日からその翌年12月31日までの間に、居住用財産を取得し居住を開始すること。(先行取得の特例あり)
繰越をする各年の所得金額が3,000万円以下であること
売却契約を結んだ前日において、その物件にかかわる住宅ローンがあること
繰越控除を受けようとする年の年末のおいて、買い換え資産に住宅ローンがあること
【住宅ローンで家を買ったけど、リストラに遭って年収が大幅にダウン。このままではローンも払えないので、何とか売却。しかし、地価が下がって、買った値段の半分にもならない。住むところも無くて困るので、売却資金を元手に小さな家を住宅ローンで買った。】

このようなケースに対する救護策としての特例です。

2000.3.9

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2004年補足説明

2004年1月1日より若干法令が変わっています。

・譲渡損失の繰越控除の特例

次のすべての要件を満たす場合に限り、その通算後譲渡損失の金額を譲渡の年の翌年以後3年内の年に繰り越して控除することができます。


居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年分の所得税の確定申告書に損益通算の規定の適用を受けようとする旨の記載があり、かつ、特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算に関する明細書その他の一定の書類の添付がある所得税の確定申告書をその提出期限までに提出すること


特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除の規定の適用を受けようとする年分の所得税の確定申告書に通算後譲渡損失の金額及びその金額の計算の基礎その他参考となるべき事項を記載した明細書を添付すること


居住用財産の譲渡損失の金額が生じた年の翌年以後連続して所得税の確定申告書を提出すること


特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除の規定の適用を受けようとする年の合計所得金額が3,000万円以下であること