tax[027]収用の場合の売却益は?

2013年6月2日

収用とは、国が国土の有効利用のため、また公益目的のため、個人の所有地を買い上げることがあります。道路や公共施設の建設のため私有地を買い上げることを収用といいます。

収用は通常の不動産売買と違って、半ば強制的に買い上げされるものですから、その時に生じた売却益に同じように税金を掛けたのでは不条理になります。

そこで税法では収用などに基づく資産の譲渡益に関しては、税負担を軽減措置を設けています。その代表的なものが、収用などで譲渡益が生じた場合に適用される「5,000万円特別控除」です。

この特例を受ければ譲渡益が5,000万円までは課税されませんし、超えた分についても一定の軽減税率で課税されますので、かなり優遇されている措置といえます。

ただし、これには要件があって、公共事業者等から買い上げの申し出があってから6ヶ月以内に応じなければなりません。買取交渉でごねれば高くなるだろうといういわゆる「ゴネ得」を防止するためです。したがって、買取交渉を長引かせずさっさと申し出に応じた方が得だということです。

5,000万円を超えた場合は、前号で述べたと同じように買い換え特例も受けられますが、これは課税を将来に延ばすだけなので、どちらかにするかは微妙です。現代は将来の見とおしはかなり不透明ですから、譲渡時に特例を活用して5,000万円控除しておいたほうが、あとあと良いのではないかと私は思います。

2000.5.25
2004.10.12