tax[063]等価交換方式

2013年6月2日

不動産を活用する方法に「等価交換方式」というのがあります。これは土地所有者がデベロッパーという開発業者に土地を提供し、その土地に建った新しい不動産(マンションの場合が多い)の同じ価値分をゆずり受けるものです。土地の等価分の部屋を交換する形になるので、等価交換といいます。

等価交換の場合は、物々交換ですからお金は動きません。しかし、税法上は一旦土地を売り、その同じ価値分のマンションを買った、とみなします。つまり売った時に譲渡所得が生じるわけです。当然課税の対象になります。

しかし理屈ではそうであっても実際には金銭のやり取りが無いので納税はかなり困難です。そこで、ある一定の要件を満たすことで譲渡は無かったこととみなされる特例が設けられています。

1.交換しようとうる資産が双方共に固定資産であること(棚卸資産は×)
2.交換しようとする資産が1年以上所有していたものであること
3.交換しようとする資産が同じ種類の資産である
(土地←→土地、建物←→建物、土地←→借地権)
4.交換時における資産の時価の差額がいずれか高いほうの20%を超えないこと。

以上はすべて満たす必要があります。

5.同じ用途に使用すること
(宅地←→宅地、居住用←→居住用)
これについては相手が用件を満たさなくても、当方が満たしていれば可。

以上5つの用件を満たす場合であるときは、譲渡はなかったものとみなされます。

5,000万円の土地建物を5000万円の土地建物と交換したとしても、判定は土地と土地、建物と建物という具合に別々に見ます。したがって、例えば土地部分を見て譲渡益があると判断される場合は課税対象になります。
人口が集中しているような市街地域では、住宅を高層化して確保する特例があります。

1)特定民間再開発事業の用に供するための土地建物を、その土地の上に建てられた中高層耐火建築物と交換した場合

または

2)1の規模ほどではないが、既成市街地等にある土地建物などを、その土地の上に建てられた一定の耐火共同住宅と交換した場合

は交換した土地の収入金額が取得価額を超える場合、超えた部分にのみ譲渡所得税が課税されます。

なお、これらの特例を受ける場合は、確定申告書二面の「特例適用条文」に「所法58条」と記入し、譲渡所得計算明細書を添付しなければなりません。

2001.02.07